わが人生最高の10冊(「週刊現代10/12号」より)

加藤正人(脚本家)
 「脚本の神様」が明かす黒澤映画の舞台裏
加藤正人さんのベスト10冊
1位 『複眼の映像 私と黒澤明

私と黒澤明 複眼の映像 (文春文庫)

私と黒澤明 複眼の映像 (文春文庫)

黒澤明監督との共作『羅生門』でデビューした大脚本家が描く自伝。『生きる』や『七人の侍』の創作秘話など満載
2位 『伊丹万作エッセイ集』
伊丹万作エッセイ集 (ちくま学芸文庫)

伊丹万作エッセイ集 (ちくま学芸文庫)

国士無双』『無法松の一生』などで知られる著者による戦前・戦中に書かれた映画評、社会評論など。理知的な文章が光る
3位 『洪水はわが魂に及び』(上・下)
洪水はわが魂に及び (上) (新潮文庫)

洪水はわが魂に及び (上) (新潮文庫)

「無垢な優しさと極端な暴力という両極を描きながら、世界観を広げている。大江氏ならではの世界はいつ読んでも心地いい」
既読
4位 『岬』
岬 (文春文庫 な 4-1)

岬 (文春文庫 な 4-1)

紀州を舞台に濃密な血縁に縛られた若者の物語。「パワフルで生々しい文体に惹かれます」
既読
5位 『邂逅の森』
邂逅の森 (文春文庫)

邂逅の森 (文春文庫)

狩猟を生業とする家に生まれた男の生涯を描く。「背景となる日本風土の奥深さに感動した」
6位 『神々の山峯(いただき)』(上・下)
神々の山嶺 上 (集英社文庫)

神々の山嶺 上 (集英社文庫)

実在するクライマーをモデルにした山岳小説。「最高の映画原作になると興奮して読みました」
7位 『酒国 特捜検事丁鈎児の冒険』
酒国―特捜検事丁鈎児の冒険

酒国―特捜検事丁鈎児の冒険

「混沌とした現代中国社会を映し出すような、すさましい幻想小説。重層で複雑な構成を持つ」
8位 『神戸・続神戸・俳優伝』
神戸・続神戸・俳愚伝 (講談社文芸文庫)

神戸・続神戸・俳愚伝 (講談社文芸文庫)

戦時中、特高警察に弾圧された新興俳句の代表作家の自伝。「『神戸』はいい映画になると思う」
9位 『方言詩集まるめろ』
方言詩集まるめろ

方言詩集まるめろ

津軽弁の詩集。初版に付いていた著者本人が朗読するソノシートは今も持っています」
10位 『全集 黒澤明』(全7冊)「座右の書として生涯で何度も読んだシナリオ集です。黒澤映画の真髄は脚本にあると思う」
最近読んだ1冊:『夢を売る男』
夢を売る男

夢を売る男

百田尚樹さんの最新作。一作ごとに違うスタイルに挑戦する姿勢に敬服するが、今回も見事に新ジャンルを書き下ろした。出版にまつわる痛快なブラックコメディーです。作中『元テレビ屋の百田何某』というくだりにはにやりとさせられました」
既読