わが人生最高の10冊(「週刊現代7/14号」より)

御厨貴政治学者)
 政治史研究の考え方を覆した『テロルの決算』。
御厨貴さんのベスト10冊
1位 『テロルの決算』

新装版 テロルの決算 (文春文庫)

新装版 テロルの決算 (文春文庫)

演説中に刺殺された浅沼稲次郎社会党委員長と犯人の少年が交錯した一瞬を描いた「ニュージャーナリズム」の金字塔的作品
2位 『流砂の声』
流砂の声

流砂の声

「文明とは、都市とは、人間とは何か」という問題意識が溢れるエッセイ集。流れる砂のような視点が声となり読者に訴える
3位 『山田風太郎明治小説全集 全14巻』伝奇、推理、忍法小説のジャンルで名を馳せた著者による明治開化もの。「なかでも『警視庁草紙』は出色の出来だと思います」
4位 『赤頭巾ちゃん気をつけて』
赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)

赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)

4部作の最初の作品。ちなみに、3作目の『さよなら快傑黒頭巾』の解説は御厨さんが担当した
5位 『林達夫著作集 全7巻』「林さんは時代を超えて普遍的なことを述べた学者。人間や社会への深い洞察力に感嘆した」
6位 『萩原延壽集 全7巻』
萩原延壽集1 馬場辰猪

萩原延壽集1 馬場辰猪

文章に、文体に凝った自由人。著述業に専念した「在野の歴史家」の息の長い作品
7位 『豊饒の海 全4巻』
豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)

豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)

「自決事件は私が浪人生の時。最終巻と一緒に人生にピリオドを打ったところに当時は共感した」
8位 『ずばり東京』
ずばり東京―開高健ルポルタージュ選集 (光文社文庫)

ずばり東京―開高健ルポルタージュ選集 (光文社文庫)

東京オリンピックで沸き立つ60年代前半の東京の変化を独自の視点で捉えたルポルタージュ
9位 『正統と異端 ヨーロッパの精神の底流』キリスト教社会を読み解く入門書。宗教上の正統と異端のダイナミクスを丹念に解説する
10位 『石上神宮 七支刀銘文図録』
石上神宮 七支刀銘文図録

石上神宮 七支刀銘文図録

国宝「七支刀」の釈読解明のための資料が満載。「予備校講師をしながら生涯をかけて研究したフリー学者の記念碑的作品」
・最近読んだ1冊:『明日』
明日

明日

震災後に書き上げた鎮魂歌「明日」を含む21篇の詩集。「言葉の魔術師と呼べるほどの感銘を与える書。私が議長代理を務めた東日本大震災復興構想会議でまとめた『復興への提言』は、この人の詩的なスタイルが色濃く反映されたものとなりました」