絵本玉手箱No.2 『しろいうさぎとくろいうさぎ』

絵本玉手箱を開いたら、スティーヴィー・ワンダーの曲♪エボニー・アンド・アイヴォリー♪とともに『しろいうさぎとくろいうさぎ』が出てきました。

しろいうさぎとくろいうさぎ (世界傑作絵本シリーズ)

しろいうさぎとくろいうさぎ (世界傑作絵本シリーズ)

広い森の中で毎日、二匹のうさぎは仲良く楽しく遊んでいました。
だけどくろいうさぎは、「いつまでも一緒に楽しく過ごせるか?」不安になって悲しくなってしまうのです。
そこでくろいうさぎは、素直な気持ちになって「いつもいつも、いつまでも君と一緒にいられますように!」と願っていることを、しろいうさぎに伝えます。
しろいうさぎもまったく同じ気持ちだったのです!
そして美しい月の光が照り輝く夜、二匹のうさぎは動物たちの祝福の輪に囲まれて結婚式を挙げるのでした!

ほんわかした心温まるお話もさることながら、墨絵を思わせる淡い色調の、奥行きを感じさせる森の風景、そこここに黄色で描かれた草花が印象的な絵・・・二匹のうさぎの表情や質感までもが伝わってくる素敵な絵本です。

しろいうさぎとくろいうさぎ』の原題は、《The Rabbit's Wedding》。
ハッピーエンドの物語なのに・・・なぜ全編を通して地味な色調なのか?疑問なんです。

そこで少し深読み・・・・
この《The Rabbit's Wedding》が、アメリカで出版されたのは1958年。
1955年に《ローザ・パークス事件》を機に南部の各州で黒人によるバス・ボイコット運動などの公民権運動が盛り上がってきた、そんな時代と重なります。

白いうさぎと黒いうさぎで白人と黒人を表現し、さらに進んで黄色い花は黄色人種を表しているんではないでしょうか?

ちなみにこの《The Rabbit's Wedding》は出版された当時、南部の各州で一部の白人による不買運動の対象となり、図書館の書架からも撤去されたそうです。