わが人生最高の10冊(「週刊現代7/7号」より)

崔洋一(映画監督)
 『鴉の死』は僕にとっての生きる哲学書です。
崔洋一さんのベスト10冊
1位 『鴉の死』

鴉の死・夢、草深し (小学館文庫)

鴉の死・夢、草深し (小学館文庫)

歴史の闇を描いた大長編作『火山島』の原点である短編小説。「狭い島の事件だが、広大な世界を感じさせる」
2位 『THE AMERICANS』
Robert Frank: The Americans

Robert Frank: The Americans

1950年代、中古車に乗って48州を撮影。ハンドルを握らせたヒッチハイカー二人の凄みのある横顔など。フランクの代表作。
3位 『死風街/風狂えれじい』
死風街/風狂えれじい

死風街/風狂えれじい

ダチ同士のヤクザが、疑心にかられ殺し合う「波止場会始末」など。70年代初期刊行の著者の劇画集第1弾。
4位 『山猫の夏』
山猫の夏 【新装版】 (講談社文庫)

山猫の夏 【新装版】 (講談社文庫)

「ブラジルの大地を舞台に人間の切なるものが迸る。物語に触れる喜びを味わわせてもらった」
5位 『コルシア書店の仲間たち』
コルシア書店の仲間たち (文春文庫)

コルシア書店の仲間たち (文春文庫)

「60年代のミラノなど知る由もない僕をして、散策しているかのような錯覚に陥らせる紀行小説」
6位 『無頼平野』
無頼平野 (つげ忠男漫画傑作集)

無頼平野 (つげ忠男漫画傑作集)

「描く修羅は個人的なもので、あっさりと死に向かう。あの時代のかわぐちかいじと被る」
7位 『筑豊のこどもたち』
筑豊のこどもたち

筑豊のこどもたち

「父親と母親の本箱にあった。炭住の子どもたちは、僕の子どものころにも重なる」
8位 『体験的戦後映像論』
体験的戦後映像論

体験的戦後映像論

「血気盛んな大島さんが文句あるならかかってこいと書いた。僕にとっての映画の教科書」
9位 『散歩のとき何か食べたくなって』
散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)

散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)

「食べることでの文明批評。助監督時代、貧乏人の僕らは気取って持っていた」
10位 『檀流クッキング』
檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)

檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)

「男は批評する前に作れ!美味しい物を食え!人に食わす喜びを知れ!」
・最近読んだ1冊:『チャイルド44 上・下』
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

スターリン体制下のソ連の警察ミステリー。警察小説は、世界各国に名作があるが、この作品は性善でも性悪でもない、澱のようにたまっていく人間の本質をついている。きっと、これからの僕の映画作りに影響を与えかねないね」