わが人生最高の10冊(「週刊現代3/2号」より)

香山リカ精神科医
 世界はひとつではないのではないか
香山リカさんのベスト10冊
1位 『流れよわが涙、と警官は言った』

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)

ある朝目覚めると「自分」を証明する記録が消され、「存在しない男」として警察から追われる身に。鬼才ならではの悪夢の世界
2位 『名指しと必然性』
名指しと必然性―様相の形而上学と心身問題

名指しと必然性―様相の形而上学と心身問題

名前が対象をどう指示するかをめぐる哲学考察。「『固有名』という着想に、SFと哲学を橋渡しする可能性を感じました」
3位 『赤の他人』(手塚治虫名作集17に収録)
手塚治虫名作集 (17)

手塚治虫名作集 (17)

親も教師も自分を操ろうとするニセモノだと疑い始めた少年はある行動に出る・・・。
4位 『シミュラークルとシミュレーション』
シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス)

シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス)

「冷戦後のグローバル社会を予見していたと思われる考察が各所にちりばめられています」
5位 『〈魂〉に対する態度』
「魂」に対する態度

「魂」に対する態度

「〈私〉と他者は何がちがうのか。永井さんの思索を理解するのが私の近年のテーマですね」
6位 『銀河とヒッチハイク・ガイド』
銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

地球消滅後に、生き残った主人公の人間が宇宙人の友人とともに銀河系を旅するSFコメディ
7位 『だれも知らない国で』(『ブランコのむこうで』に改題)
ブランコのむこうで (新潮文庫)

ブランコのむこうで (新潮文庫)

「どうやって生きていったらいいのだろうと悩み始めたときに一読をおすすめしたい本です」
8位 『競売ナンバー49の叫び』
競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫)

競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫)

暗喩に満ちた迷宮世界を舞台にした探偵小説。「問題は何も解決しないのですが、そこが好き」
9位 『わたしを離さないで』
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

「もしかしたら自分も誰かのために作られた存在かもしれないと考えてしまう、深遠な話」
10位 『となり町戦争』
となり町戦争 (集英社文庫)

となり町戦争 (集英社文庫)

「すぐそばで戦争が起きているという、ちょっとずれた〈現実〉を描いた不思議な小説です」
最近読んだ1冊:『人情馬鹿物語』
人情馬鹿物語

人情馬鹿物語

「大正期の東京の下町を舞台にした人情小説。かってはあったけれども、今は見ることのできない風景は、あえて言えば〈別世界〉です。登場人物も寅さんをさらに素朴にしたような人たちで、疲れたときに気楽に読めて現実逃避させてくれます」